home › あなたのマンションは定期調査対象?特殊建築物定期調査について
あなたのマンションは定期調査対象?特殊建築物定期調査について
大規模なマンションは特殊建築物として法定点検を義務付けられてます。分譲マンションの場合、多くの場合マンション管理会社が行っていますが、点検に要する費用もマンション管理会社によってさまざまです。
定期調査の調査費用・価格については、管理費用の中に含まれていたりするため、なかなか表に出てきにくい場合があります。また管理会社、設計事務所、調査会社によっても調査費用にばらつきがあるのが現状です。
これは、さまざまなある調査項目に対して、どこまで現場調査を行うのかという部分と、その調査結果をまとめた報告書をどこまで作成するかによって、かかる人件費が大きく変わってくるからです。
特殊建築物とはどんな建築物か
主な特殊建築物としては次のようなものがあります。
特殊建築物の種類 | 規模と階数 |
マンション | F≧5階 またはA>1000㎡ |
共同住宅 | F≧5階 またはA>1000㎡ |
学校 | F≧3階 またはA>2000㎡ |
体育館 | F≧3階 またはA>2000㎡ |
百貨店 | F≧3階 またはA>500㎡ |
ホテル | F≧3階 またはA>300㎡ |
旅館 | F≧3階 またはA>300㎡ |
飲食店 | 地階もしくはF≧3階 またはA>500㎡ |
ダンスホール・ナイトクラブ | 地階もしくはF≧3階 またはA >500㎡ |
劇場 | 地階もしくはF≧3階 またはA >500㎡ |
特に高層マンション等は万が一の時は多くの犠牲者を出すことがあるので「特殊建築物」として、利用者の安全を守るために建築法によりしっかりと規制をされています。
特殊建築物に属するマンションにも義務化されている定期調査とは
地域によって、詳細に違いがありますが5階建て以上、延べ敷地面積1000㎡以上のマンションは、特殊建築物定期調査の対象になり、3年ごとに専門家により特殊建築物定期調査を受ける義務があります。
そして防火区画の適切な設定・避難階段・避難器具の設備などの安全対策が問題なく施されているかや建築物の躯体や外部設備機器・塀などの劣化状況を3年に1回調査を実施し、特定行政庁へ報告する義務があります。
また、建築設備や、防災設備に関しては毎年定期調査することが定められています。そのチェック項目は100種類以上あります。
マンションの事故としては平成29年3月3日札幌市西区にある賃貸マンション「宮の沢ハイツ」の屋上の庇(ひさし)が約30メートルにわたり崩落したということがありました。当該物件では3年に1度札幌市への定期調査が必要ですが、少なくとも1998年から未報告だった事が確認されているようです。
負傷者が出なかったのですが、被害にあわれた方々の心身的・経済的負担を考えると、「負傷者が出なくて良かった」では済まされない事故です。
ほんの少しタイミングがずれていれば、落下してきたコンクリート片でけがをしてしまう歩行者がいたかもしれません。そのようなことになれば所有者または経営者の責任は免れず膨大な和解金を支払わざるを得なくなり定期調査の費用どころの話ではなくなります。
残念ながら札幌市内でも定期調査対象物件の15%程度が未報告です。現在老朽化したマンションがあっちこっちで問題になっており定期調査がなされてないマンションつまり管理がなされてないマンションがますます増えるでしょう。
本来このようなことを無くすための制度が特殊建築物の定期調査です。このような長期間の放置は許されないことです。今後マンションの所有者または経営者の自覚と行政の厳正な対処が要求されることでしょう。
また特殊建築物定期調査対象であれば建築設備定期検査で共用の換気設備や排煙設備・非常用の照明設備・給水設備・排水設備や昇降機を点検して所管の特定行政庁へ報告する義務があります。
マンション管理会社と定期調査
特殊建築物であるマンションの定期調査は通常はマンション管理会社が行っていますが、定期調査に要する費用もマンション管理会社によってさまざまです。
点検・報告をしないと100万円以下の罰金が科せられます。後々のトラブルを避けるためにも定期調査がどうなっているのかマンション管理会社に一度問い合わせるのも良いかもしれません。
マンション経営と特殊建築物定期調査
階数5階以上かつ床面積の合計が1,000㎡を上回るマンションを経営してる場合、定期的な検査(年1回)をして、その結果を所轄の特定行政庁に報告しなければいけません。
管理会社に任せてしまえば楽ですが管理会社の言いなりになりがちで“知らなかった”と、無責任に責任を放棄してしまうようなオーナーになってしまわないよう特殊建築物定期調査の知識をもったらどうでしょうか?
まとめ
マンションを所有または管理している人も分譲マンションを購入した人もなんらかの意味で特殊建築物定期調査に責任があります。
さまざまな人が共同生活をしているマンションは規模によって特殊建築物に分類され、定期調査と報告の義務が出てきます。
また定期調査を怠った結果としての事故や火災が報告されており、年々定期調査の制度が厳正化されてきてます。多くの人の安全な生活や往来のために専門家に点検をしてもらい事故の防止に務めましょう。