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公共性が高く多くの人が利用する特殊建築物の定期調査とは
多数の人が利用する建物で火災が発生した場合、避難階段や避難通路が利用できなければ大惨事に なりかねません。 また、煙が広範囲に広がらないためにも、適切な防火区画の設置が不可欠です。
この定期調査は、火災が発生した際に起こり得る事故の規模を、最小限に留めるための維持管理が適切 になされているかなどを調査をし、防災・保全を目的としたものであり、各地域が指定するビル・ マンションの所有者は、(所有者と管理者が異なる場合は管理者)特殊建築物など調査資格者により 定期的に調査し、その結果を地域において定められた機関に報告することが必要です。
(建築基準法 12 条第 1 項・第 3 項)
特殊建築物定期調査が必要な建築物
特殊建築物で定期調査が必要な施設には次のようなものが挙げられます。
劇場、映画館、演芸場 、観覧場(屋外観覧席のものを除く)、公会堂、集会場、旅館、ホテル、百貨店、マーケット、勝馬投票券発売所、 場外車券売場、物品販売業を営む店舗、病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。)、児童福祉施設など、旅館、ホテル(毎年報告のものを除く)、学校、体育館、博物館、美術館、図書館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場、スポーツの練習場、下宿、共同住宅、寄宿舎の用途、百貨店、マーケット、勝馬投票券発売所、場外車券売場、物品販売業を営む店舗(毎年報告のものを除く。)展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、待合、料理店、飲食店、対象物のある複合用途建築物(共同住宅などの複合用途および事務所などのものを除く)
ただし規模などの条件にもよります。特殊建築物の主なものを例に上げると次のようになります。
戸建て住宅や事務所以外である程度の規模の建物は定期調査の対象になる可能性があります。
特殊建築物定期調査とは
車に車検があるように、戸建て住宅や事務所以外の多くの建物は、特殊建築物定期調査という、専門家による定期調査が建築基準法12条により義務付けられています。特に公共性の高い建築物においては、利用者が常に安全である状態を確保するための制度でもあります。
これは公共性が高く不特定多数の人々が使うために火災が発生しやすく、万が一の時には人命を失う可能性が高く被害も甚大になりがちです。また周囲の環境にも被害がおよびやすいという問題もあります。そのためにこのような施設には定期調査を義務付けしています。
定期調査の主な調査項目は、「敷地・地盤」「建物外部」「屋上・屋根」「建物内部」「避難施設・非常用進入口」です。
定期調査の時期について
定期調査には、「特定建築物の定期調査・報告」、「建築設備の定期調査・報告」、「防火設備の定期調査・報告」および「昇降機などの定期調査・報告」の4種類があります。
a.特殊建築物は、用途と規模によって違ってきます。新築、改築後初回の定期報告は免除になり2回目以降より3年ごとに調査が必要になります。
b.建築設備、防火設備、昇降機については毎年検査報告が必要です。
調査内容について
特殊建築物定期調査の項目は、敷地・地盤、建物外部、屋上・屋根、建物内部、避難施設・非常用侵入口などについて調査します。また、一級建築士、二級建築士は定期調査すべてを担当できます。
建築設計事務所や設備会社に調査を外注する場合、現地調査のほかに、報告書作成と行政への提出代行を合わせて依頼できるので経験豊富な業者を選定することがスムーズに調査を進めるうえで大切です。
調査項目 | 調査方法 | 判断基準 | ||
敷地・地盤 | 地盤の状況 | 地盤沈下などによる不陸(水平でなく凸凹があること)、傾斜 などの状況 | 目視 | 建物周辺に陥没が見られ、安全性を著 しく損ねていないか |
建物外部 | 土台(木造) | 劣化・損傷状況 | 目視、テストハンマーなどによる打診 | 木材に著しい腐朽接合金物に著しい錆や腐食がないか |
屋上・屋根 | 屋上周りの状況 | パラペット(立上り面)の劣 化・損傷の状況 | 目視、テストハンマーなどによる打診 | モルタル面にひび割れが見られ、著しく白華(白い綿状の吹出物あるいは斑点)が発生していないか |
建物内部 | 天井 | 天井部材などおよび仕上げ材などの 劣化・損傷状況 | 目視、双眼鏡などやテストハン マーなどによる打診 | 天井部材、仕上げ材などに浮きたわみなどの劣化、損傷、剥落などがないか |
避難施設・非常用進入口 | 避難経路 | 物品などの放置状況 | 目視 | 避難の支障となる物品などが放置されていないか |
まとめ
特殊建築物を利用する人たちの安全確保のために制定された制度であり、たくさんの人が出入りをする建物は、新築後の初回以降3年ごとに特殊建築物定期調査の実施が義務付けられています。定期調査は専門家に依頼をして細かい項目を点検してもらう必要があります。
通知が届いているにも関わらず調査を行わなかった場合は、100万円以下の罰金を支払わなければならない場合があります。忘れないように定期調査を受けましょう。